国際ロマンス詐欺で1億5000万円の投資詐欺に遭ってしまったイタリア在住の日本人女性


国際ロマンス詐欺では仮に犯人が捕まってもお金は戻ってこない

国際ロマンス詐欺で1億5000万円の被害

イタリア在住の59歳の日本人女性が、国際ロマンス詐欺によって1億5000万円を騙し取られたようです。この女性はイタリアと兵庫県の芦屋市の両方にご自宅があるようで、イタリア滞在時にインスタグラムで日系アメリカ人とインスタグラムのDMでメッセージをやり取りし始めたそうです。

そしてDMの内容はどんどん加熱していき、相手からは「愛してる」という言葉を受け取るようになりました。これは国際ロマンス詐欺ニュースですので、当然ですが女性とこの日系アメリカ人は一度も会ったことはないはずです。ですが「愛してる」と言われているうちに女性も相手に対し好意を抱くようになり、この詐欺師の話を信用するようになってしまったようです。

この女性は2023年5月から7月にかけての間に詐欺師にFX投資を勧められ、この男の名義ではない個人口座、法人名義口座に合計17回、1億5000万円を送金してしまいました。そもそも個人が勝手に投資運用業をすると、僕はあまり詳しくはないのですが違法になるはずです。

ですので投資と送金を求められた際は、まず必ず投資運用業者としての登録証のようなものを確認し、それが本物であるかどうかを当局に問い合わせなければなりません。これさえ怠らなければ投資詐欺の被害に遭うことはないはずです。しかしほとんどの方はそのような知識を持たないため、その人が信用できるかどうかだけで判断してしまい、被害に遭ってしまうわけです。

恋愛感情で好意を抱いた相手を疑うというのは非常に難しいことです。そして好意を抱いていなくても、最近は有名人の名前を騙って行う投資詐欺が横行しています。横行するということは、この詐欺の被害に遭われている方も多いといことを意味します。

さて、イタリア在住のこの女性は上述の通り、「愛してる」と言って来た日系アメリカ人名義ではなく、すべて日本国内の個人口座、法人口座に合計17回大金を振り込んでしまったわけですが、ご存知の方も多いとは思いますが、銀行口座は闇取引されています。

僕のルポルタージュの専門はロシアの国際ロマンス詐欺なのですが、ロシア国内でも同様に、お金に困った人が銀行口座を作って詐欺師に売っているんです。法人口座にしても、資金繰りに困ったり倒産した会社の法人口座が売られることがあります。そして売った側は警察から問い合わせが来ても、「それは財布を落として失くしてしまった口座で、暗証番号は誕生日だったため、一緒に財布に入っていた身分証で誕生日を知られてしまったのだと思う」と言えば、少なくともロシアではほとんど罪に問われることはありません。

ただし日本の場合は、ロシア以上に警察の調査が深く入っていきます。そもそも確実に、落とした際の遺失物届けの有無を厳しく問われるでしょう。普通財布や口座を落として、交番や金融機関にに届け出ないということはありません。そして嘘が上手く通ったように思えても、例えばSNS上で口座を売ると書き込んでいるユーザーと、「財布と落とした」と嘯く人物が紐づけられた場合、これは口座を売った罪として100%有罪となります。

このようなことから、イタリア在住のこの女性を騙した自称日系アメリカ人が、複数の個人口座、法人口座を持っていたとしてもまったく不思議ではないわけです。そもそもこの女性から1億5000万円も騙し取ったのですから、仮に口座を購入するのに合計5000万円かけていたとしても、1億円は搾取できたことになるわけです。そのため詐欺師は口座を闇取引で購入することには資金を惜しまない場合があります。

イタリア在住のこの女性もさすがにおかしいと思い、イタリアの警察にまず相談されたそうです。そして日本への帰国後にご自宅がある芦屋市の警察署に被害届を出し、無事受理されたそうです。

しかし残念ながら受理されて、仮に犯人が逮捕されたとしてもお金が戻ってくる可能性はほぼ0%に近いと思います。詐欺師は入金があると当然ですが口座にお金を留めておくことはしません。入金されたら即ATMでお金を下ろします。

そのため送金してしまった直後に「詐欺かも!」と気づいて銀行に問い合わせて資金を取り戻そうとしても、すでにお金を下されていてその口座は空っぽになっており、取り戻すことができない場合がほとんどです。

芦屋警察署に届け出たこの女性は1億5000万円を送金してしまったわけですが、おそらくこれも本当に残念ながら戻っては来ないでしょう。もうこれはめちゃくちゃ高い勉強代と思うしかありません。あとは仮にお金が戻ってこなかったとしても、犯人の一日でも早い逮捕を願うばかりです。

ルポルタージュ筆者:多村一馬
仕事で東京とロシアを行き来している頃、ロシア人の協力で国際ロマンス詐欺師を追い詰めた実話をルポルタージュ。 詐欺師を釣るために我々が準備したのは日本円で約100万円で、最終的には全額回収。
ロシア国内の協力者/ガブリエル:元FSB(旧KGB)職員の現ガードマン(Йошкар-Ола在住)、アルチョム:若き新聞記者(Яранск在住)

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