国際ロマンス詐欺が街の一大産業となっているロシアのヨシュカロラ


ロシア人国際ロマンス詐欺師のほとんどはЙошкар-Олаと繋がっている

国際ロマンス詐欺

国際ロマンス詐欺は一昔前までは「ナイジェリア詐欺」と呼ばれていたそうです。その理由はナイジェリアの高貴な人間を装う詐欺師や、ナイジェリアを拠点とする詐欺グループが非常に多かったためだそうです。

しかし近年はロシアも負けていません。僕はロシアがウクライナを侵略し始めるまではロシアのシベリアを拠点に仕事をしていたのですが、ロシアのЙошкар-Ола(ヨシュカロラ)という街もまさに国際ロマンス詐欺のメッカであり、この街を拠点に国際ロマンス詐欺を働くグループが無数存在します。

今僕がここでルポルタージュを書いている対象である女詐欺師もЙошкар-Олаの人間であり、この女もまたЙошкар-Олаの国際詐欺グループの一員でした。

なぜ一般人がこのように詐欺グループに加わるかと言うと、詐欺グループのサポートを受けることで偽パスポート画像や不法に取引された口座番号を使えるようになるためです。つまり僕が今ここでルポを書いているВиктория Рокина-ビクトリヤ・ロキナ(仮名)ら一般人は、詐欺グループに所属することで詐欺に必要なツールを簡単に手に入れることができるというわけです。

ですが振込先口座に関してはすべて詐欺グループ側が管理しており、Виктория Рокинаのような使い捨ての詐欺師が外国人を騙し、口座に入金があると、その何%かが詐欺グループからВиктория Рокинаに支払われるというシステムになっています。

そして何%もらえるかは詐欺グループによって異なり、安全性が高い詐欺グループほどもらえる金額の割合は小さくなります。逆に詐欺師的にセキュリティーが整っていない詐欺グループの場合は、逮捕されるリスクが高いため、もらえる報酬の割合も大きくなります。

一応ロシアの警察も国際ロマンス詐欺グループの摘発に力を入れていると体裁上は語っていますが、実際には詐欺師が摘発されるケースは非常に稀です。我々が釣り上げた詐欺師の女が逮捕されたのは、まさに我々、つまり僕と協力者であるガブリエルとアルチョムが最大限警察に協力したためで、国際ロマンス詐欺師が逮捕される非常にレアなケースとなりました。

ロシア人で国際ロマンス詐欺に関するニュースを少しでも耳にしたことがあれば、すぐにЙошкар-Ола(ヨシュカロラ)という地名が出てくるほど、国際ロマンス詐欺はЙошкар-Олаという街の一大産業となっています。ただし、もちろん納税はされませんけどね。

ロシア人詐欺師の特徴は、リアル感を出すためにちゃんとロシアの街を背景にした写真、しかも他人の写真ではなく、自分自身の写真を使うケースが多いんです。しかしだからと言ってそれがそのまま証拠にはならず、「SNSの写真を勝手に使われた」と言われればそれまでなわけです。

しかし我々はそんなことを言ってくるであろうこともすでにお見通しで、我々はВиктория Рокинаの全SNS上の全写真をスクリーンショットなどで保存していました。その結果Виктория Рокинаがこちらに送ってきた写真のほとんどは、SNS上には一度も上げられたことがない写真だと証明できたため、「SNSの写真を勝手に使われた」というВиктория Рокинаの主張は警察に受け入れられることはありませんでした。

とにかくロシア人、もしくはウクライナ人を装うロシア人詐欺師のほとんどはЙошкар-Ола(ヨシュカロラ)の国際ロマンス詐欺グループと繋がっていると言って間違いありません。それくらいロシアのЙошкар-Олаという街には国際ロマンス詐欺グループが数え切れないほどあると覚えておいてください。

ルポルタージュ筆者:多村一馬
仕事で東京とロシアを行き来している頃、ロシア人の協力で国際ロマンス詐欺師を追い詰めた実話をルポルタージュ。 詐欺師を釣るために我々が準備したのは日本円で約100万円で、最終的には全額回収。
ロシア国内の協力者/ガブリエル:元FSB(旧KGB)職員の現ガードマン(Йошкар-Ола在住)、アルチョム:若き新聞記者(Яранск在住)

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