第12話 - 出会って10日で日本に来ると言い出した国際ロマンス詐欺を働く女


мошенник-Виктория Рокина

ウォータースライダーをバックに写真を撮るВиктория Рокина-ビクトリヤ・ロキナ(仮名)

早い段階で「日本に行く」と言って来た相手はほぼ確実に詐欺師!

さて、いよいよ国際ロマンス詐欺を働く女、Виктория Рокина-ビクトリヤ・ロキナ(仮名)は、会社に春休みの取得を申請して問題なく休めそうだから、このメールのやりとりをしている4ヵ月後の僕の誕生日、もしくはそれよりも早く日本に旅行できると言い出しました。

もちろん我々はこの女が日本に来ることはないということを確信していました。我々というのは僕、ガブリエル、アルチョムの3人で、詐欺師を追い詰めて警察に逮捕させるためのプロジェクトを行なっていたメンバーです。

今回僕らは約100万円の資金を用意し、これを詐欺師の要求に応えながら今後複数回送金をすることにより、この女、Виктория Рокина(仮名)の足取りを追うという作戦を立てていました。

そしてメールをやり取りし始めてまだ10日ほどしか経っていないにも関わらず、この女はすでに結婚をチラつかせており、さらには数ヵ月後には日本に来ると言い始めています。

詳しくはまた後日書くつもりですが、国際ロマンス詐欺を働く詐欺師が「日本に行く」と言うのは常套手段で、非常に多くのロシア人詐欺師が「日本に行くのに空港まで来た。でもトラブってお金が必要になった!」と言い始め、相手に送金を求めてくるんです。Виктория Рокинаも同じ手を使ってきたようです。

ですのでもしSNSや出会い系サイトでやり取りしている相手が、早い段階で「日本に行く」と言い出した時は、必ず空港に着いた段階でトラブルだと言ってくるはずですので、もう早い段階で「日本に行く」と言ってきた時点でほぼほぼ相手は詐欺師だと思って間違いないでしょう。

国際ロマンス詐欺が最も盛んなのはロシア、ベラルーシ、ウクライナ、ガーナ、その他アフリカ周辺国だと言われています。僕は一時期アクラ(ガーナの首都)の女ともやりとりをしていたのですが、残念ながら協力者が共にロシア人であったため、アクラの女性との話を進めることは断念しました。

しかしそのアクラの女も同じように「日本に行く」と言って数週間後に実際に空港に行ったものの、やはり空港でトラブったため送金して欲しいと言ってきました。そして「やはりな」と思った僕はそのメールを受信したのを最後にこの女性のメールはすべて無視することにしました。ちなみにこのアクラの女は、数年後に受け取ることができる遺産が1億円分あると言って、弁護士のサイン入りのそれを証明する書類の画像を送って来ました。しかしもちろんそれは偽物です。

このように「日本に行く」→「空港でトラブった」というのは国際ロマンス詐欺のまさに常套手段ですので、早い段階で「日本に行く」と言ってきた場合は、詐欺だと判断してそこでメール返信するのをストップするのが無難です。

「日本に行く」と相手が言ってきても、もしその相手が詐欺師ではない場合、それ以前にもっとお互いを信頼し得る情報のやりとりをしているはずです。例えばテレビ電話ですね。Skypeのようなテレビ電話の場合、録画されて完全に証拠として残ってしまうため、詐欺師は絶対にテレビ電話はしようとはしません。テレビ電話の有無も詐欺師を見極めるには効果的な方法ですので、ぜひ覚えておいてください。

ちなみにВиктория Рокинаも僕が執拗にテレビ電話を求めてもそれを拒み、「スマホのカメラが壊れていてテレビ電話はできない。写真も友だちのスマホで撮ってもらっている」と謎の言い訳をしていました。こんな話を相手が本気で信じるとでも思っているのでしょうか?いや、でも情が湧いてくると信じちゃうんでしょうね。

日本に来ると言い出した時のВиктория Рокина(仮名)のメール

Hello, my dear Kazu! I'm glad to talk to you again. Thank you for your letters. I'm glad that our relationship continues, and we are getting closer.

I tell my relatives and friends about you. They hope that one day they will get to know you. They insist on this, especially my mother. :) I told them that you are a very serious and good person. You know that parents are always worried about their children, and they want them only good things. How about you Kazu? Have you already told your friends about me or not?

What do they think about this? Let me know, please. Do you have any plans for our I think it's nice to spend some time together, is not it? To know each other better. Probably, we can meet :)

about the vacation I will not have problems. and I think that I can come to Japan for your birthday, and maybe even earlier. If now I begin to do some documents for a trip abroad, they should be ready for spring.

Yes, I will find out when I will be given leave at my company, and I think it will not be a problem. I told you that I'm in good standing with my firm and they appreciate me. And I think I will be put in the wheel.

In occasion of days off, they have passed at me well. we unexpectedly gathered with my friends and went to the country cottage. We were there bathing in a bathhouse, roasting meat at the stake and doing a lot of other interesting things. I had a good rest, and on Monday I had to get up heavily because I was very relaxed.

Oh, I never studied baseball and its history. I did not know that there was a Russian team. It is very interesting.

about the work, I do not know. What I'm doing now, I can do it and I do it. Of course, you can move on in career growth, but this requires further training. This is a question that can not be answered immediately.

I do not want to live in Russia, I want to honestly tell you this. because there are so many reasons for this. Political, social, economic. all this puts pressure on a person, and since I live here since birth, I know all this. there is very much corruption and arbitrary police officers. In short, Russia is not for the life of a normal person. I think you can understand me.

Every day I want a lover, well, of course this is a normal desire in a pair. And I react well to this.

I'd like to be alone with you, tet-a-tete, to touch you. Oh, this is my dream. Let's discuss this, sweetness. I'm waiting for your letters. Thousands of kisses to you.
Your Tatyana

ルポルタージュ筆者:多村一馬
仕事で東京とロシアを行き来している頃、ロシア人の協力で国際ロマンス詐欺師を追い詰めた実話をルポルタージュ。 詐欺師を釣るために我々が準備したのは日本円で約100万円で、最終的には全額回収。
ロシア国内の協力者/ガブリエル:元FSB(旧KGB)職員の現ガードマン(Йошкар-Ола在住)、アルチョム:若き新聞記者(Яранск在住)

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